去る6月30日、東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所(府中市)において、「高齢化社会と国際移住に関する文化人類学的研究(東南アジア・オセアニア地域を中心に)」臨時研究会が開催されました。
ロングステイ関係の著述がある書き手3名が招かれ、取材を通しての現状を報告。私は「ロングステイをめぐる商業活動」をテーマに、ゲストスピーカーを務めました。
海外で暮らす・ロングステイをする日本人が急増するなか、学術的な研究も活発化しているようです。とはいえ、活字離れ、出版不況といわれる昨今、(私を含め)商業作家・ライターたちがロングステイの「どこ」の部分に光を当てるかによって、取材対象や見せ方も異なります。
どういった方にスポットをあてるか。それを常に考え、読者層にあった人に取材をしているわけで、あくまでも小さいサンプルでしかありません。ロングステイを実践している人のなかには、取材されたい層と、されたくない層とがあり、タイプも如実にわかれます。自己顕示欲の強いタイプの方にお話を伺うばかりでは、ある意味偏りも生じますが、個人的な理由で取材を断るひとも多く見受けます。そうした方と、取材ではなくお話を交わすと、とても人間性が豊かであることに、往々にして気づかされます。
読者の欲求は、媒体の種類によっても大きく異なるということ。
何より、「旅」やその延長線上にあるロングステイは、右脳の働きによって選択された結果行動のように、私は感じています。ロングステイに対する潜在ニーズが近ごろ高まっているその背景には、簡単に割り切ることができない、人間本来の「求める力」が、作用しているからではないでしょうか。