原油高、資源高問題に追随するかのように、日本の食料自給率についての不安報道が絶えません。
資源大国の豪州、カナダそして米国、欧州の先進各国における自給率の高さはご存意のとおりですが、日本のそれは比較に耐えません。
農業はもとより、漁業においても従事者の生活が脅かされる時代を迎え、深刻の度合いを深めているように見受けます。私が暮らす東京は、全国の都道府県のなかでも最低の水準で、自給率たるや僅か1%という低さです。
昨夏はとうもろこし畑が広がっていた練馬の農地も、この夏、久しぶりに訪ねましたら荒れ野になっておりました。地主は世代交代ができず、農地も規制がかかり他に転用できず、昭和の残像を今に引きずるばかり。子どものころに歩いた畦道も、誰に踏み固まれることなく、のび放題の雑草に覆われていました。
この連休中に、ふと足をとめた野菜の無人販売所。コインロッカーの再利用で、100円を投じれば、窓が開くしくみです。どれも朝採れの新鮮野菜ですが、実は、地元スーパーで購入したほうが値段は安いのが相場です。
一極集中の大量仕入れで安価を追求するスーパーが地方都市でも猛威をふるう一方で、地産地消という概念は廃れてきたと聞きます。農地が多く残る練馬でも、実家の数軒先に広がる畑で採れたものが食卓にあがることはありません。ロッカーに伸ばした手を引っ込め、結局はスーパーで見知らぬ土地の野菜を購入して、都心のマンション自宅へと戻りました。