米国ナショジオ協会付き研究員スペンサー・ウェルズ博士の基調講演は、ことさら興味深いものでした。人類の大いなる旅――「私たちは、どこから来たのか?」。科学を道具に歴史を学ぶ「究極の旅」がテーマです。
現代人の遺伝子を調べ続けたスペンサー博士は、「"人類"誕生の地はアフリカ」と断言。それは突然変異から始まったといいます。突然変異した人類の祖がアフリカを旅立ったのは6万〜2万年前のこと。世界各地の先住民族5万人以上、一般人30万7千人ものDNAサンプルを抽出。この壮大なプロジェクトは2005年から始まり、今もなお続けられています。
ちなみに日本に最初に辿りついたのは、まさに"アイヌ"だそう。私たち現代日本人の約3分の1が、アイヌの8割にみられるDNAの型="南方系縄文人"といいます(下図をご覧ください。旅してますね)。
東アジアを廻り辿り着いた南方系縄文人の場合、「お酒が強くソース顔(文化人類学者・竹村真一氏の弁)」だそう。それに対して、中国大陸から渡った北方系弥生人は"しょうゆ顔"でお酒も弱い?ようですよ。あなたはどちら?人類の旅、ゾクゾクしますね。
最後のトークセッションでは、沖縄出身の知花くららさんも登壇。遠目にも美しさが際立っておりましたが、彼女のDNAを読み解くと、ベーリング海を渡り北米へと移住したひとたちが祖先だとか(やっぱり違うな〜)。人種の違いが、とてもミクロなものだと感じ入った、このセッション。最後の〆で語られたセリフ、「私たちは"地球人"なのです」。印象的でした。
■ナショナルジオグラフィック(日本版)のホームページは、http://nng.nikkeibp.co.jp/
10月19日にはスペンサー博士が出演するナショジオのテレビ放映もあるのだそう。チェックしてみて!
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