2009年11月29日

日本航空の企業年金問題を考える

散々、マスコミでも取り上げられてきましたJALの企業年金問題に、解説の余地はまったくありませんが、あらためて本件に触れたいと思います。

日本の年金制度は、基礎年金と厚生年金の二階建年金が特徴です。これら公的年金だけでは老後不十分との見地から、従業員数1001人以上の大企業の多くは企業年金基金を創設し、年金原資の運用や管理を行ってきました。ですから企業年金は私的な年金で、受け取りの条件も企業によってまちまちです(私自身、富士銀行年金基金と日本交通公社年金基金の証書をもって嫁ぎました)。

ロングステイやセカンドステージにおける旅のかたちをテーマに講演するおり、毎度、年金の受取り時期とそれぞれの年齢にあった旅のスタイルを、パワーポイントで図示してご説明をしております。企業年金は特権的な意味合いがあるうえ自営業者には関係がありませんから、ご聴講いただくすべてのひとが対象となることはありませんが、ご自身がよく理解されているケースがもっぱらです。

拙著「JTB旅をみがく現場力」の取材過程では、当時の分社化について、私がもっとも速く着手したのが労組へのインタビューです。役員のファースト・ヒヤリングのあと、取材行程を組み立てる上で、この企業年金問題をどうするかが最初のヤマであったことを振り返ります。ですから取材は、労組からスタートしました。OBに3分の2以上の賛成をとりつけて初めて、次のステップへ進むことができたわけで、企業の存亡をかけて年金の減額もいとわないとするOBの協力がなければ、実現しえない作業でした。社内の作業チームだけで完結させたことに、意外な驚きを持ちました。

労使のさまざまな問題を抱える日本航空が、今後、どのような道へ進むのか。どのような企業も、そして個人も予断を許さない時代ではありますが、"痛み分け"に応じないOBの姿を連日報道でみるにつけ、多くの国民が何故を感じていることでしょう。国民誰しもが幼いころから憧れた信頼の翼…なのですから。



ラベル:エアライン 年金
posted by 千葉千枝子 at 00:00| 東京 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | エアライン・空港・マイレジ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする