まずは、古市恭さんが著した【彼岸花】〜初恋の記憶〜。
旅先で出会った女学生との淡い恋物語かと思いきや…。当時、大学生だった主人公は、のちに念願叶って雑誌「旅」の編集者に。しかし激務から身体を壊し、畑違いの仕事に身を呈したところに彼女との再会。岬の旅情も伝わります。そして、【とど(魚へんに毛)ヶ崎】。こちらは、ご著者の実直さがうかがえる一冊です。
歩んできた我が人生の足跡を晩年に振り返り、それを商業筆ではなく、したためることができたなら。とても幸せなように思います。
五反田昭文さんの短歌集【いくばくの ことを成せしや わが一生 生くる証に何を残さむ】。19年の闘病生活のなかでうたわれた短歌。ご家族が遺稿をまとめて一冊にされたものです。「子の仕事 聞かれて一瞬 とまどいぬ 微笑という名の雑誌の中身」―――。生真面目なお父様が、我が子の仕事を想う気持ち。それらをご子息が、没後一冊の本にまとめました。本を編むことの"想い"や魅力を親子リレーされたものです。
ラベル:本