2005年11月に開設したヘルスツーリズム研究所は、健康観光に関する調査ならびに、科学的実証による健康要因としての旅をテーマに、あらたな事業を創出する、業界初のシンクタンクです。
ヘルスツーリズム研究所の初代所長・古川彰洋氏に取材をしました。
たとえば、近ごろブームの【マクロビオテック】。昨年、バンクーバーへ取材したおり、流行に敏感でヘルスコンシャスなバンクーバーっ子は、すでにマクロビオテックを生活の一部に取り入れていました。
こうした、【医食同源】の考えに始まり、脳トレ、エクササイズ、アンチエイジング、温泉保養などなど、「健康」をキーワードにした旅行は、これからが花盛り。
【トラベルメディスン(=旅行医学)】の見地において、日本渡航医学会の医師、看護士をはじめ、専門家や関連機関のスペシャリストを交えた研究会【ヘルスツーリズム振興研究会】を発足させるなど、精力的に【渡航医学/旅行医学】の広報・啓蒙活動に従事しています。
JTBニューヨーク支店や米国現地法人JTBI・ロサンジェルス勤務を経験した古川所長は、この研究所を立ち上げる前年まで、営業企画本部内の【危機管理室】で、リスク管理の最前線に立っていた人物です。
2001年のニューヨーク同時多発テロを皮切りに、サーズや鳥インフルエンザなど、さまざまな旅行リスクが業界全体に暗い影を落としたさなかの重責でした。当時は、(日本が)真夜中でも電話が鳴り止まないほどだったとか。24時間ホットライン体制の、まさに「受け手」が古川氏だったのです。
旅には、さまざまなポジティブ効果があります。
お歳を召されてもいつも恋愛感情を忘れないひとや、明るいスケベを自認するひとのほうが長生きをする、といわれていますが、旅にもそんな効果があるようです。
まるで素人判断のような「旅の効果」が、科学的に実証される時代が到来したのです。。
ロングステイを専門に活動をしておりますと、【トラベルカルテ】の意味をご存じないかたが、ことのほか多いことに気づかされます。
わたしが添乗員をしていた15年前、欧米からの年老いた旅行者が、みなトラベルカルテを携行していたことを知り、驚かされました。
【インフォームドコンセント】という考えが浸透している欧米社会では、ご自分の病歴などを、診察前に医師に提示する必要があります。さもなくば、診察自体を拒否されかねないからです。
既往症や持病などを記した(英文)診断書や服用しているお薬の(英文)処方箋を所持しておくことは、とりわけ言葉の壁が高い日本人旅行者にとって、重要なリスク管理につながるのです。
滞在が長期にわたるのであれば、なおさら必携のアイテムでしょう。
ヘルスツーリズム研究所では、こうした【トラベルメディスン】を小冊子に編纂して、旅行業界全体の意識改革や周知徹底に寄与しています。
添乗員が携行するための冊子【旅で困ったときの対処法】の場合、人工呼吸のやり方はもちろんのこと、機内や旅先で遭遇するさまざまな身体上のリスクに、機敏に対応できるノウハウが、要領よくまとめられています。
海外渡航者数は、年々増加の一途をたどっており、海外在留邦人数はついに100万人を突破しました。
海外への渡航が日常化したわたしたち日本人にとって、もっとも欠けている重要なもの。
それは、「非日常における健康」へのリスク管理かもしれません。
■ヘルスツーリズム研究所URL http://www.jtb.co.jp/healthtourism
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