2011年04月10日

東日本大震災追悼記事【世界と日本】「百四歳の屈強な祖父 釜石での突然の死」を執筆しました

東日本大震災の追悼記事を【世界と日本】第1920号に綴りました。「百四歳の屈強な祖父 釜石での突然の死」のタイトルで、激動の日本の百年をしなやかに生きた祖父・下川原孝に、供養とおもって筆をふるいました。編集の皆さまには、紙面を割いてくださいましたことに心より御礼を申し上げます。

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震災後11日目に祖父宅で遺品の片づけをしておりますと……。




震災後11日目に祖父宅で遺品の片づけをしておりますと、アメリカABCニュースを名乗る外国人男性からカメラを向けられ日本語でインタビューを受けました。とても言葉を発することなどできず、小さく答えてお引き取り願いました。やがて女性のキャスターが、瓦礫の山に登ってカメラに向かい、この惨状を英語で報告し始めました。

しかし私は思ったのです。あの女性が立つ瓦礫の山の下には、まだ何方かが眠ってらっしゃるかもしれない…。

これに代表されるように、マスコミやジャーナリストの行動や発言は、ときとして功罪相半ばするのだということを、被災地で私は身にしみて感じました。
報道カメラがいち早く被災地に入ったことで、震災後1週間を経てからやっと、身内の無事を確認された方は、私も含め多かったのではないでしょうか。その半面、救援の妨げとなることや被災者の心の傷をえぐるようなインタビューも多く見受けました。皆さんもお感じだったはずです。

近ごろ、さまざまなご意見をネット上で目にします。とはいえ発言力のある人ほど、わきまえるべき点があるのではないかと感じています。
観光業においてはなおさらです。
現場を見なくては何も語れないのは当然のことですが、しかし遠くに居ながら心を馳せておられるのであれば、せめて中立を貫いてほしいものだとおもいます。関東圏のみならず、遠い沖縄でも観光地の予約キャンセルが相次いでいますが、その多くは自粛です。また海外への渡航は、多くの便に欠航やタイムスケジュールの変更が生じているため、やむなくご旅行を取りやめた方もいらっしゃいます。しかし出発時期をずらす振替需要や、表面には出ておりませんが一部、富裕層を中心とした居住地退避の行動などがあることを踏まえたうえでアドバイスをしなくては、風評被害や自粛扇動を生みかねません。
さらに、「旅行業は平和産業である」といった認識を捨て去ることです。
平和なときしか稼げないという、かつての旧きよき時代に交わされた時代語です。観光は、復興時のまちづくりや緊急連絡体制、大規模な被災者移送などに必ずや求められる業です。これは観光に携わるメディア自身も自覚をしなくてはならないのだと思います。

そのような雑感をもって、淡々と綴ることとなりました。お目に留まりましたら、ご一読ください。
ラベル:千葉千枝子
posted by 千葉千枝子 at 01:19| 東京 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 千葉千枝子の執筆記事 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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