この桜舞い散る釜石は石應禅寺で、今回の震災で命を落とした祖父・下川原孝と叔父叔母の本葬儀、ならびに四十九日法要が営まれました。無常観を、これほど感じたときはなかったかもしれません。

被災後10日目、そして20日目、さらには今回50日目と、都合3回、被災地を訪ねることになりました。この50日で、被災地の状況はめまぐるしく変わりました。しかし、時が経っても喪失感を拭うことができないのは、人だけでなく街の景色を失ったからなのだと感じます。


死出の旅路と散る桜―――。そんな光景のなか、釜石市陸上競技協会の会長が読み上げてくださいました弔辞に、私、はからずも号泣しました。とはいえ、三人の旅立ちですもの。納骨に際し、私たち親族一同、最後は笑顔で見送りました。
そして夜は花巻へと戻り、津波で多くのものが流出した祖父の部屋からみつかった日本酒で、弔い酒。釜石の地酒「浜千鳥」に、福島産の「一生青春」…これは郡山に住む従弟が、以前、贈った一本とわかり、従弟もその場で号泣。祖父が、孫からの贈り物、大切に残していたのですね。
酒をこよなく愛した祖父と、祖父を最後まで守りとおした叔父叔母の、
旅立ちに<献杯>
旅立ちに<献杯>