ともすれば壊れそうな自分を蘇生させるため、東京の大都会から軽井沢への移住を決意した山口路子さん。
作家という精度の高い感性が求められる職業柄、妻として、はたまた一女の母として、ときには女という性と正対しながら、3年前、すべての営みの拠点を軽井沢に移しました。
東京の大学を卒業後、教職に就くも、若い頃から非凡な才能を開花させ、著述の世界にいち早く飛び込んだ彼女。
学生時代、写真の技術を学んだご主人は、ファインダーを通して彼女の一番美しい姿を写実することができる、唯一の男性です。
現在は、一粒だね夢子ちゃんのよきパパとして、軽井沢から東京を、毎日(外泊もせず)新幹線通勤するといいます。
**彫金作家に特注したというエントランスのポスト
蔦のようなフック様には傘が立てかけられるよう工夫されている
そもそも軽井沢町が避暑地として知られるようになったのは、明治時代のこと。現在、人口は1万8千人。夏ともなれば、野趣と憩いを求めて、都会から多くの観光客が押し寄せます。
「別荘を所有する」ではなく、「定住する」彼女宅の向こう三軒は、実は別荘使用。混在するのが特長です。
**日々の暮らしに、機能性と「らしさ」を強調したキッチン
彼女はここで、家族のために、毎日料理をする
学生時代の彼女を知る私は、歳を重ねてなお、美しく進化していく姿をまのあたりにして、畏怖の念さえ覚えました。
彼女曰く(いえ、彼女の知人が称したそうですが)、「情念の女」だとか。日々うつろう女性の顔を映し出す洗面台の鏡も、そんなイメージぴったりのセレクション。
**素敵なシンクまわり
アールデコ風な金具が随所に、すべて彼女の見立てだそう
非凡とはいえ、「安定感」さえ感じさせる才能の持ち主、というのが彼女に対する私観。優しいこもれびが差す書斎には、フランス文学に啓発されたという彼女ならではの蔵書が並び、平穏を感じさせます。
(彼女曰く、私は内田春菊に似ている?のだそう。文学に疎い私は、その理由をこれから探ります。。。)
**「こんな書斎があったらいい」が、私の率直な印象!
あわただしい日帰り取材。
「愛のある家宅とはこういうものだ」という思いで、彼女の家をあとにしました。
■【軽井沢ハウス】の詳細は、住まいづくりの専門誌【住まいnet信州】(2005春・夏号)に特集が組まれています。
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