2013年05月10日

台湾・霧社事件を描いた歴史超大作映画【セデック・バレ】 を鑑賞して

台湾の臍(へそ)のあたりに位置する埔里(プーリー)は、台湾をこよなく愛する私にとって、とても思い入れのある場所。その埔里を初めて訪ねたとき、日月譚近くの道路標識に「霧社」の地名を見て初めて、同じ南投県にあるのだと知りました。
私たちの歴史の教科書に、わずかの表記しかなかった霧社事件。台湾の原住民セデック族が日本統治時代に起こした台湾史上最大の抗日暴動・霧社事件を題材にした映画【セデック・バレ】を、あの台湾の名監督ウェイ・ダーション氏が発表されたと知り、ずっと観たい気持ちでおりまして、やっと叶いました。二部構成で4時間36分におよぶ大作です。しかし時間の長さをものともせず衝撃的で、切ないほど心に響いた、それは素晴らしい作品でした。台湾映画のクオリティが、ここまで高まっていることにも驚嘆しました。

img116a.jpg


史実がゆえに、日本人の私たちこそが鑑賞すべき作品であり、そしてその構成・表現には、(飛躍的な解釈と思うかもしれませんが、)台湾の人たちの優しさまでも感じることができるでしょう。過去の歴史認識という言葉が、今の時代のアジア外交にはつきものですが、未来のアジアの平和のためにも、そして観光をはじめとする民間交流の見地からも、さらなる理解と認識、共有が必要だと、近ごろ切に感じています。

セデック・バレとは「真の人」を意味するのだそう。セデック族とは聞きなれないな、と思っていましたら、これまで多くの日本人は「タイヤル族」と一括りに誤認をしていたわけで、観光旅行のときはさらに解りやすく“首狩り族”などと表現。今に思えば、稚拙な日本の観光現状を突きつけられた気持ちです。主役のモーナ・ルダオはじめ多くの俳優陣が、(セデックだけでないですが)本当の原住民を起用している点が、リアリティさを増幅させています。よくぞ、ここまでキャストを集め、演技指導をしたものだと…。特に花岡一郎・二郎の兄弟、武装した子役の演技には、涙が止まりませんでした。

さて昨年、南投県を訪ねた折に、台中駅からの道すがら、綺麗な台湾桜が目に留まりました。台湾の桜は寒緋桜(かんひざくら)と言い、紅い色をつけます。この映画にも象徴的に映された、この紅い花。投降を呼びかけるビラも、紅い紙で演出されてました。
セデック族は、2008年、台湾行政院原住民族委員会により正式に、第14番目の台湾原住民族として認められた先住民族で、それまでタイヤルの括りにされていました。埔里の隣り仁愛が、この映画の舞台です。ちなみに山中でのロケはどこで行われたのか調べたら、桃園県の山奥だったそう。それにしても高山密林のなかでの日本軍との戦いのシーンを、どのように撮影したのか、合成もあるでしょうが、実に気になりました。
台湾へ久しぶり、行きたい気持ちが募りました。


ラベル:台湾 南投県 映画
posted by 千葉千枝子 at 00:00| 東京 ☔| Comment(0) | TrackBack(0) | 旅と映画・旅と写真・旅と絵画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。
※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

この記事へのトラックバック