ご著者は、まさにその言葉「ゴッドマザー」が似合う、私がこの業界で心から尊敬する木島榮子さんです。(ちなみにゴッドマザーとは、クルーズ用語で命名者。船は貴婦人=女性ですから、マザーとなります)。そしてあの、ダイヤモンド・プリンセス号の、日本誘致、日本発着クルーズを実現させた立役者こそが木島さんなのです。
新型コロナウイルスの洋上感染の報道が記憶に新しいかもしれません。悪夢のような出来事でした。ですが、ここまでの道のりはけっして平たんではなく、まだ女性の地位が低かった時代からクルーズ業界、観光業界に多大なるご貢献をされてらしたことに敬服します。現場経験、経営手腕、そして業界貢献のいかなる点でも、右に出る女性はいないといえます。
本著【私とクルーズ 半世紀を振り返って(海文堂)】には、日本市場におけるクルーズの普及に尽力された木島榮子氏の半生が綴られています。存じ上げるかたばかりが本文に次々と登場するものだから、あっという間に読み終えました。
兼高かおる先生に始まり、ジェッツツアー時代の野田省三さんやワールド航空サービスの菊間潤吾さん、JATAなど業界関係の方々、そして坂本康子さんはじめJWTC日本旅行業女性の会の方々が名を連ねており、時代時代を丁寧に記されています。私事、JWTCへの入会時には木島さん、そして鈴木光子さんからご推薦をいただいた、というご縁もあります。
国は、昨年10月、新たに船内感染防止のガイドラインを策定しています。それをうけ船会社は、国内クルーズから徐々に再開を始めており、多くのクルーズファンが先々まで予約お申し込みをされています。すでに航海に出た船もあり、感慨ひとしおです。
クルーズ業界は日本においてはいまだ未開拓市場であり、将来が期待されるマーケットです。そのパイオニアが著した一冊。ぜひ、お読みになられてみてください。そしてコロナ禍にあっても撓まず屈せず、いつまでもお元気で、業界の、そして私たちのゴッドマザーで居続けていただきたいと願っています。
ラベル:クルーズ
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