短期留学のため渡米した先で、同じルームメイトだったマリは、2歳年上の大学4年生。英語が達者なうえ、東京の一等地に暮らしていた彼女は身のこなしも洗練されており、グループの中心的存在です。カリフォルニアの青い海で水上スキーに興じたり、日本で誂えた浴衣でホームパーティーを盛り上げたりと、今から20年以上も前のことですが、マリとの出会いはまるで昨日のことのようで、鮮烈でした。
滞在中、ひょんなことから彼女が、「はとこ」にあたることが判りました。
互いの父が、従兄弟同士という間柄。ともに田舎から上京し同居をしながら、それぞれに志を果たした仲だったのを、のちに国際電話で知らされました。この、まったくの偶然に、わたしたちはすっかり意気投合。サラリーマン家庭で育った自分とは違う、華やかさを身につけたマリを慕って、帰国後も親交を深めました。
やがて彼女は、駐在員夫人の経験を活かし、大使館などで在日外国人を相手に和食の作り方を教えるようになります。お互いが子育てで忙しくなると、活躍のうわさは遠くから聞こえてくるばかりでしたが、それもいたしかたないのが、この世代。
主婦業も、子育ても完璧にこなす、そんな多忙な彼女に、突然の病魔が襲ったのは昨年のことだったそうです。そして、発病からわずか1年余月で、彼女は帰らぬひととなりました。
突然の出会い、そして突然の別れ。訃報で、初めて知らされた闘病の事実。
マリの、あまりにも早い旅立ちを心から悼むと同時に、「夢は叶う」を教えてくれたことに、切磋琢磨できたことに心から感謝します。
マリに出会えて、本当によかった。。
このコラムは、オールアバウト海外移住のメールマガジンに、掲載させていただいたものです。
父とともに、マリの実家に弔問しました私は、あらためて、突然の不幸に涙が止まりませんでした。
弔問のあと、実業家であるマリのお父様が、自身が経営される焼肉専門店【がんこちゃん】で、お席を用意してくれました。
笑って見送ろうとする、痛々しい想いが伝わりました。
マリ、安らかに。。
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