「ロン・パリ・ローマ」はじめ、マドリッドやジュネーブ…80年代お決まりのコースから、南仏やイタリアの地方都市、北欧などへ足を伸ばし始めた90年代。そして今世紀、インターネットの登場で、どのような小さな町にも光が当たり、欧州の身近さを感じたものです。ところが、私たちには未踏の名所が、まだまだあるのだということを、今回、身をもって感じました。
アルペン街道東端にあるドイツ【ベルヒテスガーデン】は、同じ山岳リゾートでも、世界の富が集まるスイス・サンモリッツとは一風異なり、豊かな自然と優しさにあふれた、"チロル"らしい町。
雪解け水があふれるこの時期。美しい水が町へと注ぎあふれ、春本番を迎えています。オーストリア・チロル州とは、少し趣きも違って、「ここが、ドイツ?」と再確認したくなる田舎町です。
ベルヒテスガーデンでは、"ホテルレストラン"といわれる、ペンションとプチホテルをあわせたようなカテゴリーのホテルに滞在しました。高台のホテルからのぞむ、バッツマン山は、残雪をたたえ美しく、空気が驚くほど澄んでいて、鳥のさえずりで目を覚ますのです。
チロリアンの衣装(正式には、バイエルン地方の民族衣装で「ディルンドル」という)を身にまとい、現地を案内してくれたのは、ハイジさん(本当は、"ハイディー"Heidiと呼ぶみたい)という名の、イーグルネストガイドの女性。漫画「アルプスの少女ハイジ」の主人公ハイジとは、ちょっと年齢もサイズも違うけれど、私、彼女のひたむきなガイディングに、本当に心打たれました。

**eメールを交換しあった、イングリッシュスピーキング・ガイドのハイジさん
そんな素朴さが残るベルヒテスガーデンでは、感動の湖【ケーニヒ湖】Konigsseeと、ヒトラーの山荘【ケールシュタインハウス】、岩塩抗ツアー、それに市内散策etc…と、盛りだくさん。万歩計を持参した諸氏によれば、2万歩〜2万5千歩は歩いたといいますから、なんとも健康的です。

湖畔には早春の緑をたたえた山々と、そして残雪の頂き。湖は、透明かと思いきや、ミネラルが豊富なせいでしょうか、鮮やかなエメラルドグリーンです。
**台を置いて一段高いところから、岩肌向かってトランペットを吹く船長。残念ながら、少しわかりづらい画像ですが、お許しください)
(はら…、泣いているのは私だけかしら)と、涙もろくなったこのごろの自分に、(年のせいかしら??)とも思っていたら、「ドイツ人のご婦人も、涙を流していた」と同行のひとがいいます。自然は、ひとの心を動かします。水も空気も澄む湖で、トランペットの音色がこだまする…。それが、ケーニヒ湖です。

**日帰りハイキングも可能。湖のなかほどには、教会やレストラン、土産物店があり、下船して休息できます。ナショナルパークの案内所もある

**湖岸には船の停泊所がいくつも。湖上ウェディングも人気だとか
■全長8キロの美しい湖【ケーニヒ湖】のサイトは、http://www.seenschifffahrt.de
■ハイキングを楽しみたいなら【ナショナルパーク】のサイトを、http://www.nationalpark-berchtesgaden.de
欧州アウトは、スイス・チューリッヒ空港から、スイス・インターナショナル・エアウェイズを利用して、5月20日に帰国しました。
この日、到着の予定時刻に遅れが生じたのは、関東に接近した台風の影響です。
当機は成田着陸のため、いったん高度を下げましたが、激しい雨と強風で、まるでタッチ&ゴーのように、再び機首を上げて旋回。リトライの際には、「再度試みますが、羽田にも着陸許可を要請しています」というアナウンスが流れました。
機体が大きく揺れ、具合を悪くされた方もいたようです。
無事着陸のときには、一斉に拍手がおこりました。(久しぶりだな、着陸時の拍手…)
通勤の足にも影響が出ていたようですが、午前9時、成田第1旅客ターミナルの空港ロビーに出てみると、たくさんの報道陣が待ち構えていました。
この日は、成田空港開港30周年の式典行事が予定されていたほか、「空飛ぶスイートルーム」と呼ばれるエアバス380の日本初就航の日。シンガポール航空が、悪天候のため、中部国際空港へダイバードしたと知らされ、ブローシヤを手にした報道陣たちが、手持ち無沙汰に空港内を歩いていました。
出立前日のサンモリッツの大雪に、成田の台風。世界の広さを感じます。