標高1834メートルものケールシュタイン山頂に、カンファレンスルームやキッチン、ティールームなどを配した巨大別荘を、ヒトラーがわずか12ヵ月で建設させたというから、驚かされます。独裁者の力とは、無理を可能にしてしまうものなのでしょう。
冬は雪深く、偵察中の英軍エアフォースにも見つかることはなかったことから、大戦中の爆撃を免れ、現代に至る数少ないナチの残像。その当時のままを今も残し、一般公開されています。
**雪が残る戸外に佇む十字架が、1834mをさしている(画像右)
内部には、ヒトラー50歳の誕生日に、ムッソリーニから贈られたというマーブルの暖炉や木製テーブルがそのままに。そして、当時、床に敷かれたカーペットは、「日本のヒロヒトから贈られたもの」だったそうで、ガイドのハイジは沈痛な面持ち。
窓の外には、先ほど遊覧したケーニヒス湖が、まるでミニチュアのように遠方に見えます。何しろ、360度の展望が可能なのです。
ケールシュタインハウスの見学は、毎年、雪が解ける5月中旬から、10月末ごろまで可能です。今年は、5月10日からオープンということで、私たちが訪ねたのが15日でしたから、本当にラッキーでした。
一般の自動車やトランスポーテーションの車両は、麓のパーキングに。見学者は、そこで専用バスに乗り換えて、つづら折りの山道を揺られ、バス・アライバル・ゾーンで下車します。下車地がちょうど展望台になっているのですが、そこからさらに岩山、まさに頭上に、このイーグルズ・ネストが建っているの(見上げる、という角度)。
全長124メートルのひんやりしたトンネルを抜けると、そこにはエレベーターホールが。
内部は金張りで、巨大なエレベーターが一基。撮影禁止だったので、公開できませんが、そのエレベーターで、さらに124メートル、今度は上昇するのです。これ、みんな、当時のまま!!
イーグルズ・ネスト。
ヒトラーを英雄視すること、そうした行為自体が、ドイツの法律で固く禁じられています。この暗黒の時代の、ある意味"生き証人"ともいえる歴史建造物の見学を、次回の訪独で、ぜひ実現させてください。
■【ケールシュタインハウス】見学、専用バスとエレベーター込みの料金は、こちらのホームページに掲載されています。日本の旅行会社で申込の場合、ミュンヘン発着のオプショナルツアーが催行されているので、確認してください。
ケールシュタインハウスの中には、きちんとしたレストランもあります。店内ばかりでなく、天気のよい日は戸外でも食べられるよう椅子テーブルがしつられてあるのです。
このランチプレート、意外と美味しく、ビールもすすみました。